最適な選択科目は日本史?世界史?それとも…(1)
最適な選択科目は日本史?世界史?それとも…(1)
文系コースを選んだ高2生が最初に悩む問題の一つが「社会の選択科目をどれにするか?」という問題です。
今日はこの選択科目の常識・非常識について解説します。
一般的な私立文系大学の入試では「英語」「国語」に加えて「日本史・世界史・政治経済・地理・数学」のいずれかの受験が必須となります。
これを選択科目と呼びます。
この中で最も選択する受験生が多い科目は「日本史」、次に「世界史」が続きます。
政治経済や地理、数学を選択する受験生は少数派です。
2018年のセンター試験において、各科目をどれくらいの受験生が受験したかを示すデータがあります。
これによると、
日本史B…170,673人
世界史B…92,753人
政治・経済…57,253人
となっています。
日本史と世界史の人気が高いことがよくわかると思います。
その理由は、日本史または世界史を選択しておけば、ほぼすべての私立文系大学を受験することができるからです。
一方で、政治経済や地理、数学を選択してしまうと受験できない大学・学部が発生します。
(例えば政治経済だと、慶應義塾大学・上智大学・立教大学の一般入試は受験ができません)
そのため、志望校が固まっていない高2の段階では、どの高校でも、とりあえず日本史か世界史を選択するようにアドバイスされることが多いです。
(後半で詳しく説明しますが、ここにも意外な非常識が含まれています。条件さえ満たせば、実は政治経済はとても有利な選択科目です)
⇒最適な選択科目は日本史?世界史?それとも…(4)
⇒最適な選択科目は日本史?世界史?それとも…(5)
次に、日本史と世界史では圧倒的に日本史の選択率が高いことがわかります。
さて、ここからとても重要な話をします。
日本史の選択率が高い理由と、その落とし穴についてです。
日本史の選択率が高い理由
なぜ日本史と世界史では、日本史の選択者が圧倒的に多いのか?
多くの受験生がなぜ日本史を選ぶかというと
「何となく世界史より日本史の方が知っていることが多いから」
という理由がほとんどです。
では、なぜ多くの生徒がそう感じるのか?
小中学校の歴史の時間では主に日本史を扱います。
小学校6年では日本史のみ、中学校でも日本史の学習が中心で、世界史を扱う時間は日本史の10分の1程度です。
多くの生徒は高校で初めて本格的に世界史に触れることになります。
また、テレビなどでも歴史の話がチラッと出てくることがありますが、その場合も日本史関連の話題の方が多いですね。
その結果、ほとんどの生徒が次のような感覚を持ってしまいます。
「自分は日本史は多少知っているけれど、世界史は全然知らないから、とりあえず日本史にしておこうかな~…」
でも実は、ここに大きな落とし穴が待っているのです。
これから日本史で受験しようかな~と考えている、または迷っている高1・高2生はよく読んで下さい。またすでに日本史を選択してしまった高2・高3生も知っておくべき内容です。
日本史受験は「ハンディ戦」である
自分は日本史なら少しは知っている、だから受験でも何とかなる。
これ、実は多くの受験生にとっては「大きな勘違い」なのです。
世の中には子供の頃からどっぷりと日本史にハマっている「日本史マニア」というべき存在が多数います。彼らにとって日本史の勉強は「勉強」ではありません。趣味です。
受験で日本史を選択するということは、この「日本史マニア」たちとガチンコで闘うことを意味します。
日本史マニアとは、具体的に言うと例えばこんな人たちです。
- 小学生の頃から歴史が大好きで、漫画「日本の歴史」は1~23巻まで全巻自宅にそろっていて、暇さえあれば繰り返し読んでいた。
- 「NHKの大河ドラマ」を小学生の頃から家族と一緒に毎年欠かさず観ている。「真田丸」「麒麟が来る」で戦国時代を、「花燃ゆ」「西郷どん」で幕末の歴史をマスター済み。
- NHKの番組「歴史秘話ヒストリア」をよく観ている。
- TVゲーム「信長の野望」シリーズが大好き。戦国武将の名前なら50人以上はスラスラ出てくる。武田信玄や上杉謙信のことを語るとついつい熱くなってしまう(笑)
- 歴史コミック「応天の門」「アンゴルモア」「信長協奏曲」「アシガール」「ゴールデンカムイ」「昭和天皇物語」などを愛読している。
- 司馬遼太郎や山岡荘八、吉川英治の歴史小説を何冊も読んでいる。
「竜馬がゆく」「燃えよ剣」「関ケ原」「坂の上の雲」「織田信長」「徳川家康」「太閤記」「太平記」etc.
- 雑誌「歴史街道」「歴史群像」をつい立ち読みしてしまう。
- 休日には古墳やお城を見に行くことがある。
いかがでしょうか?
このような歴史ファンはゴロゴロいます。特に進学校には珍しくないので、歴史ファン同士で熱く語り合っている場面によく出くわします。
書店に行けば歴史コーナーにたくさんの本が並んでいます。児童書売り場にも歴史本は多いです。
それだけ老若男女問わず、歴史ファンが存在するということです。
これが大学受験において、何を意味するのか?
日本史は、受験勉強開始の時点で圧倒的に「ハンディ」がある、という事実を意味します。
漫画「日本の歴史」は、掛け算九九みたいなもの
歴史ファンの高校生は、それ以外の生徒に対して圧倒的な貯金を持って受験勉強を開始できるのです。
それに対して、歴史ファン以外の生徒は借金を背負ってのスタートとなります。
スポーツに例えて説明するなら、幼少期からずっと野球やサッカーを習い続けている子に対して、高校から野球やサッカーを始めた子が勝負を挑むようなものです。よほどの才能に恵まれない限り勝負にならないですよね。
こんな説明もできます。
歴史ファンたちにとっては、漫画日本の歴史レベルの知識は、掛け算九九のようなものです。
蘇我馬子、持統天皇、藤原不比等、桓武天皇、菅原道真、源義仲、楠木正成、足利義政、田沼意次、井伊直弼、桂小五郎、近衛文麿…
このレベルの人物については「あー、壬申の乱で勝利した天武天皇の妻で藤原京に遷都した女帝ね(持統天皇)」「後醍醐天皇に忠義を尽くした南朝方の戦の天才ですよ(楠正成)」という感じで、受験勉強などしなくても、スラスラ説明できてしまいます。
(卑弥呼、聖徳太子、源頼朝、徳川家康、坂本龍馬、福沢諭吉といったレベルでは無いことに注意。そのレベルは九九ではなく一桁の足し算です。)
アイドルファンが自分の好きなアイドルグループのメンバーについて語るようなもの、という言い方もできるかもしれません。「暗記しなくちゃ!」なんていう意識は皆無です。自然と覚えてしまっています。
「え、そんなやつ、この世に存在するの!?」と思った人は、受験で日本史を選択することは、避けた方が無難です。
逆に「あ、それ、俺のことだ」と思った人は、ぜひ日本史で勝負しましょう。
(ちなみに、ひと昔前は歴史好きと言ったら男の子、というイメージだったのですが、最近は「歴女(れきじょ)」と呼ばれる歴史好き女子も増えているようです。)
日本史について「中学校の時に習ったから少しは知っている」とか「中学校の頃の歴史の成績は周りより良かったから何とかなる」と考えてしまっている生徒さんは、本当に要注意です。
歴史マニアの男子、歴女たちとの壮絶なハンディ戦が待っています。
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